社長と秘密の生活



「そうですね…。杏花様と偶然会われたとして、ワザワザ名乗るでしょうか?」


沢田は落ち着いた表情で口を開いた。


「そうだな…。やっぱり、詳しく調べた方が…」


“偶然だった”と思いたい自分がいる。

けれど、何度考えても偶然だとは考え難い。


「私もそう思います。事が落ち着くまでホテルにお部屋をご用意致します」

「あぁ、頼む…」


沢田の妥当な判断を。

杏花との距離を置くにはホテル住まいが1番良い。


「では、私は早速調べて参ります」


沢田は会釈して部屋を後にした。


俺は沢田に修矢の素行調査を頼んで仕事に没頭した。

修矢が杏花の事を…

まだ嗅ぎ付けて無い事を祈りながら…。


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