社長と秘密の生活
他愛も無い話をしながら、2時間近く過ごした。
隣りの女が痺れを切らし、
「ねぇ、そろそろ違うとこ行きたぁい」
甘えた声で俺に縋り付いてくる。
「そうだな…」
俺も限界だし、この辺で終わりにするか。
俺は和成に目で合図をし、女の腰に手を回した状態で立ち上がり、
「カズ、悪ぃ。今日は帰るわ」
「あぁ、俺も明日仕事だし、もう少ししたら帰る」
「じゃあ、杏花ちゃんまたね?」
「はい」
俺は杏花に優しく微笑んだ。
杏花は笑顔で手を振っている。
そんな風に手を振られると切なくなるな。
けれど、ここは我慢だ。
全てはコイツの為に…。
「じゃあな、修矢」
「おぅ」
俺は修矢に軽く手を挙げ、女と共にその場を後にした。