社長と秘密の生活



「えっ……でも、どうして?」


何が何だか分からない。


「杏花は俺より和成がいいのか?」


抱きしめる腕を少し緩めて、じっと私の顏を見据えている。


「そんなことあるワケないよッ…キャッ!!」


急に強く抱きしめられた。


「杏花に会えないだけで、限界なのに。目の前でカズとイチャつかれて、俺マジでキレそうだった」


再び首筋に顔を埋めた要が、

弱音とも思える、嫉妬してくれた事を口にした。

………えっ?だけど……。


「そんな風には見えなかったよ?要は女の人と良い雰囲気だったし……」

「アレは芝居だ。あんな女何とも思わねぇよ。けど、杏花は楽しそうだったよな?」


少し顔を上げた要が不敵に微笑んで…


「そ、そんなことないよ。今にも涙が零れそうなのをキスで誤魔化して貰ってたんだから」


そうよ!!

要の方が楽しそうだったじゃない!!

耳元でヒソヒソ、コソコソと。

無駄に腕を腰に巻き付けて…。


< 271 / 557 >

この作品をシェア

pagetop