社長と秘密の生活
「えっ……でも、どうして?」
何が何だか分からない。
「杏花は俺より和成がいいのか?」
抱きしめる腕を少し緩めて、じっと私の顏を見据えている。
「そんなことあるワケないよッ…キャッ!!」
急に強く抱きしめられた。
「杏花に会えないだけで、限界なのに。目の前でカズとイチャつかれて、俺マジでキレそうだった」
再び首筋に顔を埋めた要が、
弱音とも思える、嫉妬してくれた事を口にした。
………えっ?だけど……。
「そんな風には見えなかったよ?要は女の人と良い雰囲気だったし……」
「アレは芝居だ。あんな女何とも思わねぇよ。けど、杏花は楽しそうだったよな?」
少し顔を上げた要が不敵に微笑んで…
「そ、そんなことないよ。今にも涙が零れそうなのをキスで誤魔化して貰ってたんだから」
そうよ!!
要の方が楽しそうだったじゃない!!
耳元でヒソヒソ、コソコソと。
無駄に腕を腰に巻き付けて…。