社長と秘密の生活
「ねぇ、この後のご予定はぁ?」
「特には…」
「じゃあ、上のスカイラウンジでお酒でもいかがぁ?」
「あぁ、いいけど…」
「嬉しいっ!!」
女はウソ臭い笑顔で腕を絡ませ、胸を押し付けて来た。
やたら鼻につく甘ったるい声で色仕掛けをしてくる…。
ムスク系に少しスパイシーな香りが混ざった
どきつい香水をプンプンさせて。
昔の俺ならこんな風に寄ってくる女を
好んで連れまわしてたっけ?
杏花と過ごすようになって、俺の好みは変わったらしい。
こんな女に胸を押し付けられても、
欲情の“よ”の字も出て来ない。
俺は誘われるままにバーで酒を飲み
女が『今日は泊まりたい』と言うから、
そのままホテルの部屋を取った。
そして、今……その女と2人きりで
――――――ホテルの一室。