社長と秘密の生活



私はその後、部屋を行ったり来たり。

ウロウロ……。

ソファに横になり、天井をボーっと眺めたり。



けれど、何度考えても答えは同じだった。


あっという間に、時間が過ぎ…窓の外が薄暗くなっていた。


カチャッ。


ドアが開く音がして振り返ると、エプロン姿の女の人。


「失礼致します。私、一条家に仕えております、村岡と申します。身の回りのお世話を仰せつかっております。遠慮なく、何なりとお申し付け下さい」


彼女は挨拶が終わると、お辞儀をしてキッチンで夕食の準備を始めた。


仰せつかって……?

あっ、そう言えば家政婦を雇うとか言ってたっけ。

村岡さんは母親と同じくらいの歳かしら?

彼女は無言で手際よく熟していた。


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