社長と秘密の生活


俺は杏花の首筋から仄かに香る匂いに気が付いた。


「杏花。香水してるのか?」

「えっ?あっ、うん。今日はパーティーだって言うから…」


胸の奥がチクッと痛む。


俺といた時は香水なんてした事は無い。

和成といる時は香水をつけたりするのか?

胸の奥がモヤモヤする。


テーブルの上にあったリモコンで、

薄暗い室内を明るくした。


杏花に目を向けると、

首から胸元にかけ見た事も無い

ゴールドのラメがあしらわれている。


それに化粧もバッチリ、キマっていて。

髪もドレスに合わせ、上品にまとまっていて…。

見れば見るほど胸の奥が重くなる。


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