社長と秘密の生活
すると、
「杏花さん、今までありがとう。そして、これからも要のこと宜しくお願いします」
「私からも頼むよ。あの子は頑張り屋だが、寂しがり屋でもある。いつでもそばにいてやってくれ」
「私の方こそ、至らない点が多々あるかと思いますが、これからも宜しくお願い致します」
柔和な表情の小夜さんと昇さん。
こうして見ると、とても普通の老夫婦。
一条の会長夫妻とは思えない。
私は2人に深々お辞儀をした。
「そろそろお時間です」
「では、私たちは会場で待ってるわ」
「はい」
介添え人に促され、
会長夫妻は部屋を後にした。