社長と秘密の生活


静まり返る部屋で

気持ちを落ち着かせていると、


―――コンコン。


部屋に入って来たのは両親だった。


「杏花、綺麗だわぁ。お母さん嬉しくて…」

「お母さん、泣かないでよぅ…私まで涙が出ちゃう」

「ごめん、ごめん。あまりに綺麗で。お化粧が崩れちゃうわね」


涙ぐむ母親。

ハンカチを目頭にあて、

優しく微笑んでくれた。


「お父さん?」

「あっ……あぁ。綺麗だ」


既に涙目の父親。

普段の厳格な父親の姿はどこにも無い。


「ありがとう。ごめんね?一緒にバージンロード歩けなくて」

「そんなこと気にしなくていい。この姿を見れただけで、父さんは満足だ」

「そう言ってくれると…うれしいよ」


3人で手を取り合い、微笑み合った。


< 459 / 557 >

この作品をシェア

pagetop