社長と秘密の生活
静まり返る部屋で
気持ちを落ち着かせていると、
―――コンコン。
部屋に入って来たのは両親だった。
「杏花、綺麗だわぁ。お母さん嬉しくて…」
「お母さん、泣かないでよぅ…私まで涙が出ちゃう」
「ごめん、ごめん。あまりに綺麗で。お化粧が崩れちゃうわね」
涙ぐむ母親。
ハンカチを目頭にあて、
優しく微笑んでくれた。
「お父さん?」
「あっ……あぁ。綺麗だ」
既に涙目の父親。
普段の厳格な父親の姿はどこにも無い。
「ありがとう。ごめんね?一緒にバージンロード歩けなくて」
「そんなこと気にしなくていい。この姿を見れただけで、父さんは満足だ」
「そう言ってくれると…うれしいよ」
3人で手を取り合い、微笑み合った。