社長と秘密の生活



―――コンコン。


「失礼致します。ではお時間になりましたので、会場へご案内致します」

「はい」


俺は介添え人を伴い、会場へ向かった。


既にセレモニー会場は

大勢の人で埋め尽くされていた。


先ほどの静けさは全くない。


俺は入場口にある衝立の裏に

息を潜めて、スタンバイした。


すると―――――、


厳かに雅楽が会場に響き始め、

和琴、琵琶、振鼓、竜笛

……様々な音色が調和する。


その音色が会場を包み込むように、

会場が一瞬で静まり返った。


俺は緊張を解そうと、

ふぅ~と小さく息を吐いた。


その時―――――、


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