社長と秘密の生活
斎主が指輪を乗せた三方を持って来た。
俺は小さい指輪を手に取り、
杏花の方へ身体を向ける。
すると、杏花も俺の方へと身体の向き変え、
色白の左手をそっと差し出した。
杏花は黙ったまま俯いている。
俺は彼女の手をそっと掬い上げ、
華奢な薬指に指輪を嵌めた。
斎主は杏花に指輪を乗せた三方を差し出し…
杏花はそこから指輪を受取り、
俺の左手に左手を添えた。
その手はとても温かく、
彼女の優しさが伝わって来た。
杏花は右手で、
俺の左手薬指にゆっくりと指輪を嵌めた。
すると―――
「フフッ」
一瞬だったが杏花の口元が緩んだ気がした。
