社長と秘密の生活
控室に戻ると、
祖父母と本田、沢田と和成、
そして、杏花の両親が待っていた。
俺は沢田を睨み付け、
「沢田!!どういうことだ!?」
思わず、声を荒げて。
すると、
「要、わしらからのサプライズプレゼントだ。ほら、杏花さんを見てごらん。凄く綺麗じゃないか」
「そうよ、要。仕事が忙しくてお式を挙げないなんて、杏花さんが可愛そうだわ」
祖父母が横やりを入れて来て、
「要、お前……和服も意外と似合うな」
和成の言葉でどっと疲れが出た。
式の間はパニックになりながらも、
イベントの責任者として緊張をしていた。
しかし、皆の言葉を聞くと
俺だけが知らなかったってワケか。
「社長、申し訳ございません。会長のご指示でしたので…」
俺に忠実な沢田の言葉で
―――――完全に緊張の糸が切れた。