社長と秘密の生活
「早苗先生!!私、自分で持ちます」
「杏花様。私はもう先生ではございません。小夜様のボディガードです。そして、今は杏花様のお側役を仰せつかっております」
「………でも」
「先生で無くても名前は変わりません。早苗のままで結構でございますよ」
早苗先生は優しい笑顔を向けてくれた。
……そうよね。
私を警護するのに“先生”に扮しただけだもの。
けれど、あんなに親しんだ人を今さら使用人扱いは出来ない。
ううん、出来るワケが無い。
「では、早苗さん。これからも友人として仲良くして下さい」
「勿論でございます。どうぞ、よしなに…」
早苗さんは柔らかい笑顔で会釈した。