社長と秘密の生活


いつの間にか要の後ろに

小夜さんと早苗さんが立っていた。


要は不機嫌そうに舌打ちして、

渋々、抱きしめる腕を緩めて。


「では、参りましょう」

「お婆ちゃん、こう言うことは先に言えって」

「良いじゃない。サプライズってのは感動も一塩よ?」


不敵に微笑む小夜さんに、


「あーはいはい。杏花、知らないだろうけど…うちのじぃばぁは“サプライズ”と“こっそり”が大好物だから」

「えっ?」

「要、余計な事は言わなくていいの。杏花さん、さぁ行きましょう」


小夜さんに左手を取られ、

右手は要の腕に絡め取られ

トレーンは早苗さんが介助してくれて。


私は―――――とある部屋の前に。


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