社長と秘密の生活


購買部との会議を理由に、

俺は企画・販売フロアに立ち寄る事にした。


「社長、その…あまりお気になさらずと申しますか…えー…驚かれないで…と申しますか……」


沢田は言葉を濁す。


「何が言いたい?」

「はい、では失礼を承知の上、申し上げます」


沢田は機嫌を伺うような表情から、一瞬で真剣な目つきに変わった。


「杏花様のお陰で営業成績も伸びております。どうか社員達を温かい目で見守って頂けたらと存じます」

「フンッ。分かったような口を…」

「申し訳ございません」

「沢田の言いたい事は分かった」

「恐れ入ります」


俺は机の上を片付け、自室を後にした。


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