社長と秘密の生活
「なぁ、ハネムーンって顔じゃないぞ?今にも死刑宣告されるみたな顔してる」
「ほとんど一緒の気分です」
彼女は窓の外を眺めながら答えた。
「何が不満だ?」
「何もかも……」
「例えば?」
「何で、いきなり旅行なんです?私には荷物を準備する時間も無いんですか?私には行き先を決める権利も無くて、何をどうしたらいいのか……」
「籍を入れたんだ。ハネムーンはあっても不思議じゃない。荷物は俺好みで揃えてある」
「………」
「何をどうしたらっていうのはアレだ、俺をその美貌で虜にしてその気にさせ、俺に抱かれれば良いだけ……だが?」
「……やっぱりそうなんですね」
「何がだ?」
彼女はシートベルトで締め付けられた胸元に手を当て……
小さくため息をついた。