社長と秘密の生活


ホテルのラウンジでコーヒーを。


「杏花、イタリアに来て1週間経ったけど、どうだ?」

「どうって?すごく楽しいし、幸せだよ?」

「旅の疲れは?」

「疲れ?う~ん、そうだね。毎日歩いて足が疲れて来たかも。でも、大丈夫だよ?」


杏花はニコッと可愛らしい笑みを浮かべ、カフェモカを口にした。

そんな杏花に、


「夕方まで時間あるし、スパでもどうだ?」

「スパ?ホテルにあるの?」

「勿論!!で、ドレスアップして夕食にしないか?」

「……うん。けど、あまり凝ったお料理は……緊張しちゃうから」

「あぁ、分かってる。とりあえず、スパでリフレッシュして来い」

「うん!!」


杏花は庶民派。

高級レストランや高価なアクセサリー類は、ことごとく嫌う。


ディナーは気が引けるみたいだが、スパは嬉しいらしい。


やっぱり、女の子だな。


俺はホテルのスタッフを呼び、

杏花の分からないイタリア語で……。


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