社長と秘密の生活


「ハネムーンって言っても、観光とかじゃなくて、その……そういう事を“し”に行くって感じで……」

「まぁ、否定はしないな。だが、観光や買い物がしたいなら、好きなだけさせてやる」

「やっぱり……契約………」


彼女はボソッと呟いた。


「っん!?」

「……もう………いい……」


杏花は小声で呟いた後、全く話さなくなった。

ただ、流れる景色を眺めるだけで。


きっと…強引に結婚を迫った挙句、

職務と称して“子づくり”を強いる俺に呆れているんだろう。

まぁ、俺だって今まで散々遊んで来たし。

女が喜びそうな言葉を掛けれない事もない。

だが、遊びの女と“妻”という立場の女。

何かが違って思えるのは何故だ?

女なんて皆同じじゃないのか?


< 55 / 557 >

この作品をシェア

pagetop