社長と秘密の生活


「あの、どうかされましたか?」


突然、背後から声を掛けられた。

振り向くと、背の高いスーツ姿の男の人が1人。


「あっ、いえ…何でもありません」


慌てて涙を手で拭って、無理やり笑顔で答えた。

だって、ここはホテルの地下駐車場。

恐らく、この男性はお客様。

通常は従業員が車の管理をするが、さすがに深夜では車の出入りはほとんど無い。

それでもここにいるって事は、車内に忘れ物をしたか、急なお帰りか…。

私は、ゴミ拾い用のちりとりと箒を手に、男性にお辞儀をし戻ろうとした。



すると―――――。



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