社長と秘密の生活


要は音楽を聴きながらお酒を飲んでいた。

お風呂から出た私に気付いたようで…


「杏花も飲むか?」


どうしよう…。

けど、この緊張……素面じゃ恥ずかしくてムリだよね?


「うん……少しちょうだい?」


要はグラスに注いでくれた。


「これ、なに?」

「シャンパン。杏花が飲みやすいように甘口にしてある」

「いただきます……」


―――シャンパン……。

やっぱり、お金持ちの人って飲むモノもオシャレ。

私はグラスに口を付けた。

……ん?

甘くて、ゴクゴク飲めちゃう。

何だろう?

イチゴのような甘い香りに酸味はあるけど、

優しい甘さと心地良い炭酸で……。

コレってお酒?

……ジュースみたい。


昼間にレストランでお酒の好みを聞かれて、

あまり強くないって言ったから

気を遣ってこのジュースみたいなのを用意してくれたのね。


フフッ。

やっぱり、優しい人なんだわ。

ついつい止まらず、ゴクゴク飲み干す。


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