人間




約束通り、華織は10分くらいしてから来てくれた。

華織の家から歩いて20分くらいかかるから、走って来てくれたのだろう。

「大丈夫!?」

華織が開けてくれたおかげで、暗かった倉庫には光が入った。

私は目の前にいる華織に抱きついた。

華織の制服のリボンが私の涙で濡れてしまったが、華織はそんなことは気にしていなかった。
「怖かった…」

嗚咽を漏らしながら言う私の頭を華織はなにも言わずに優しく撫でてくれた。

「助けてくれてありがとう。」
私は涙を手で拭き取り、笑顔でお礼を言った。

「いいえ。春がウチを頼ってくれて嬉しいよ。」

華織はそう笑顔で言った。




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