人間
彼女は勇気を出して来てくれた。
そのことを考えるととても嬉しかった。
“彼女とは、きっと仲良くなれるんじゃないかな?”そう思えるほどだった。
そのあとは、もちろん小さないじめがあった。
が、菜子のことが嬉しくて、何時もより辛くはなかった。
“もしかしたら、もうすぐいじめが終わるんじゃないか。”と思った。
そして、そんな、穏やかな気持ちは帰る時まで続いていた。
「あ、そうだ!この前のお礼で華織に何かお菓子を持っていこう!」
とても心が穏やかだったからそう思ったのかわからないが、私は学校の近くのデパートでお菓子を買い、華織の家へと向かった。
「あら、春ちゃん。こんにちは。」
華織の家につくと、華織のお母さんが庭の手入れをしていた。
「こんにちは。華織はいますか?」
「いるわよ。今日はさつきちゃんと百合絵ちゃんもきてるわよ。」
華織のお母さんはそう言った。
「そうなんですか?呼んでくれればよかったのに…。」
なんて言っていると、お母さんは「多分、大変だと思うから。って言ってたけど?」と言った。
多分、“いじめの事で疲れているだろうから、誘うのは止めよう。ということになったのだろう“と私は思っていた。
「華織たちは部屋にいるからね。」
「はい。ありがとうございます。」
私はお母さんにお礼を言い、華織の部屋へ向かった。