人間
「そう。じゃあお望み通りにしてあげる。…あんたたちの心に嫌と思うほど、焼け跡を残しながらね。」
私は不気味に笑いながら、そう吐き捨て、先生に早退届けをだし、家へ戻った。
母はあまりの早い帰宅に少し残念な顔をしたが、優しく「おかえり。」と言ってくれた。
きっと母は私がどんなことをされているか知らないだろう。
ただ、いじめられているということはわかっているはずだ。
それでも何も言わずに、手を差し延べてくれる母はとても頼りになった。
「ただいま。お母さん大好き。」
私がそういうと、母はびっくりした後、照れながら、「ありがとう。」と言った。
その日の夜、また、菜子から電話があった。
「あんなこと言ってなにするの?」
心配しているみたいだった。
でも私は明るく、
「大丈夫。ちょっとしたサプライズをするだけだから。」
と言った。
その言葉を聞いた菜子は、さらに不安がっていたが、私は「大丈夫。」の一点張りで、電話を切った。
「みんなはどんな反応をしてくれるのかな?」
考えるだけで私はワクワクしていた。