グレーの秘密
最後はＰ大合格だけを目標にした灰色の高校時代を過ごし、いざ入学して２年。未だに思い描いていたＰ大生とのギャップが自分を困惑させている。

「幹事の山中マリエです。趣味は読書、マンガだけどね。宜しく」

女は聞いたことも無い高卒の女が三人だった。どうして先輩達は、こんな奴等と会話が通じるのだろう。軽蔑と尊敬が入り混じった、不思議な感情が胸に渦巻く。

「リョウくん、だっけ？」
不意に、あの女に肩を叩かれた。
「はい、リョウくんです」
「あんま喋んないね」
「俺彼女いるから」
「素直だねえ。いい子。」
小動物のような出で立ちなのに、そう頭を撫でられると、ライオンに目を付けられた草食動物のように固まってしまう。
褒められているのに何故か酷く苛ついていることを、悟られたくはない。
「何か、無理に参加させちゃったみたいでごめんね」
「山中さんが謝ることじゃない」
「マサくんに言っとくから。あ、それじゃあリョウくん気まずいね。腹いせにハッシーに言っとこ。ハッシーって、マサくんの友達。仕事一緒なの。すっごいバカでさ」
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表紙・目次

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