グレーの秘密
それからも女はよく喋り、俺はほぼ相槌を打っているだけだった。ただ内容は嫌悪感を抱くようなものではない。女も会話を無理強いすることは無く、気付けば女の話を素直に受け入れていた。

「ふふ、最近、P大の人と出会う率が高いんだあ」
「ああ、合コン?」
しまった。少し嫌味だったか。
「違うよお、仕事。凄いね、歩く聡明って感じの子。出会ってすぐなんだけど、いい子なんだよね」
「好きなんだ。」
「うん、大好き」

そう言って、女は一瞬真顔で目を覗き込む。何だか、死んでしまいたかった。
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