グレーの秘密
3
「発表です。」
ある勤務中、耀子は唐突に宣言した。
「なあに、ほら手下げてよー」
彼女は挙手した手を次は口元に当てた。そして私の耳元で
「明日から、私の彼氏がここで働きます」
そう言って笑った。
「彼氏!居るとは聞いたけど、ほんと唐突だね」
「へへ。サプライズサプライズ」
「それはちょっと違うんじゃん」
「細かいことはいいのっ。」
「ヨウちゃんの彼氏かー、楽しみだなあ」
「仲良くしてやってよ」
「いじめるよ」
「ええっ、まあいいか」
「いいのかよ」
実際、私は耀子の彼氏がどんな奴か楽しみであった。
あの耀子を射止めた男。彼女は話し易く友達も多かったが、どこか謎めいていた。高嶺の花ではないが、届きそうで届かない。そう思わせる女だった。
同性の私でさえ、この頃には既に耀子のことをもっと知りたくてたまらなくなっていた。どんなに下らない会話でも、形の良い唇が言葉を紡ぐのをずっと見ていたかったし、陸上部に関わらず真白い肌についても、耀子なら何か奇跡的な理由があるのではないかと割と本気で思った。異性となれば引く手数多・・・いや、尻込みしてしまうだろうか。
ある勤務中、耀子は唐突に宣言した。
「なあに、ほら手下げてよー」
彼女は挙手した手を次は口元に当てた。そして私の耳元で
「明日から、私の彼氏がここで働きます」
そう言って笑った。
「彼氏!居るとは聞いたけど、ほんと唐突だね」
「へへ。サプライズサプライズ」
「それはちょっと違うんじゃん」
「細かいことはいいのっ。」
「ヨウちゃんの彼氏かー、楽しみだなあ」
「仲良くしてやってよ」
「いじめるよ」
「ええっ、まあいいか」
「いいのかよ」
実際、私は耀子の彼氏がどんな奴か楽しみであった。
あの耀子を射止めた男。彼女は話し易く友達も多かったが、どこか謎めいていた。高嶺の花ではないが、届きそうで届かない。そう思わせる女だった。
同性の私でさえ、この頃には既に耀子のことをもっと知りたくてたまらなくなっていた。どんなに下らない会話でも、形の良い唇が言葉を紡ぐのをずっと見ていたかったし、陸上部に関わらず真白い肌についても、耀子なら何か奇跡的な理由があるのではないかと割と本気で思った。異性となれば引く手数多・・・いや、尻込みしてしまうだろうか。