君とあたしの距離、50㍍。
「あッ、1組にあたしの名前あった」
6年1組、出席番号2番のひなが、
1組を指さしてそう言う。
あたしは自分が1組であることを
祈りながら、だんだん1組の表に
向けられたあたしの視線を、下に、
下にと動かしていった。
「…あった」
あたしは小さく呟いた。
ひなは「え?」と首を傾げる。
小さな声で言ったし、周りが
すごいうるさかったから、ひなには
聞こえなかったんだと思う。
あたしは、笑顔でひなの目をみて、
もう一度言い直す。
「あったよ、…1組!」