君とあたしの距離、50㍍。
  


今だって話し掛けるのは、
かなり勇気のいることだった。

何でか。

それは、あいつのことが好きだから。

理由なんて、特にはなかった。
だけど、初めて言われたあの一言が、
ものすごく嬉しかったことは覚えてる。


「絵、意外と上手いんだな」


小4の頃、理科のノートに描いていた、
落書きを褒められたとき。

女子には散々、たぶん"お世辞"で
よく言われてた。"絵、上手いね"って。

だから、男子にそう言われるのは、
すっごく新鮮で。

嬉しかった。

それでかな。

よく分からないけど、あたしはあいつが、
――中村悠介のことが、"恋愛感情として"、
好きなんだ。


 
< 20 / 20 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop