君とあたしの距離、50㍍。
チッ チッ チッ チッ
時計の秒針が、まだ
パジャマ姿でベッドに
横になっているあたしを、
「早く起きろ」と急かす。
それでもあたしは、眠い。
起きる気力さえ、この
凄まじい眠気に奪われる。
「まゆりー?早く起きなさいよ、今日から新学期よ?」
なのにお母さんは、加減なしに
あたしを無理矢理起こしに来る。
「やだ。行かない」なんて言ったら、
どうなることか?
そんなの、馬鹿なあたしにだって、
直接見たように、はっきり分かってる。