不思議な出会い
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「んん…」
どれくらい経ったんだろう。
窓からの風が涼しくて
少し遠いセミの声に目を覚ました。
「あれ……」
「目覚めた?」
見慣れた声のする方向に目を向けると、栞が少し怒った顔でこっちを見てる。
「あ…そっか…リレーで…」
「心配した」
「うん、ごめん…」
「私こそ。やっぱり無理にでも止めるべきだったわ」
「……」
「…感謝しなさいよ。
あの学校の王子様に。
あの人があんたのこと倒れる瞬間に抱きかかえてくれたお陰で、あんたは頭打たなくて済んだ」
「あ…直哉先輩…」
「笑顔がうさんくさい奴だと思ってたけど、あんたのことちゃんと見ててくれたみたいだし、そこだけは認めてあげるわ」
「その…直哉先輩は?」
「俺に寝顔見られるの嫌だと思うし、起きたら知らせてって言ってずっと保健室の前で待ってる…」
「そんな…
私、お礼言わなきゃ…」
「…今呼んでくる」
「あ…栞!」
「ん?」
「心配かけてごめんね。
付き添ってくれてありがとう」
「ふっ なにそれ
10年も一緒にいるのよ。
今更なによ、そんな改まって」
「だって…怒ってると思って」
「…怒ってるわよ。
私の忠告聞かないんだから。
でもそんなこと分かりきったことよ。あんたが意地っ張りで、無理しすぎることなんてとっくに知ってる」
「うん……」
「だからそんなに落ち込まない!
ととっととあの王子野郎にお礼言って帰るわよ!」
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