恋日和

☆河原の蛍☆

「急にごめん」

ゆっくり離された手。

強く握られていたから、ジンジンしてる。

土手に座ると、葉さんはゆっくり話し始めた。

「あそこに居た睦月は、俺の幼なじみなんだ」

葉さんの目は、遠くの観覧車を見つめている。

「高校の卒業式の日に、何も言わずにどこかに旅に出た。昔から、自由人だったけど、自由過ぎるだろ」

声は笑っているけど、夜に紛れて表情は分からない。
もっと近くに座れば良かった。
< 33 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop