死神の邂逅
「『死ぬときに死神が来る』だなんて、誰でも分かる知識だが。まーさか、こんな美人に看取られるだなんてなぁ。
やけに色気ある死神じゃねえか。死んだあとのアフターサービスに期待だな、こりゃあ」
「死に逝く者の言葉ではないな」
「シシッ、あー、分かるー?死ぬ気なんか更々ねえよ。てめえ見て更に思った」
男の言葉はどこまでが本気なのか、全てがどうでも良さげに思え、何もかもが取るに足らないことだと、真実など語らない口は。
「とりあえず、てめえ犯すまで死にたくなくなった」
このとき、初めての“宣言”をした。
必ずそうしてやると、生き残っててめえを抱くと男は笑う。
横暴な台詞に悪意ある口元、唇をなめずる舌が未来を予期していて――何よりも寒気がしたのは、その意思の強さ。