死神の邂逅
下賤(げせん)でしかない信念のはずが、男にはお似合いだと思い、きっとこいつは今までそんな信念――やると決めたことをやり遂げる意思で生き抜いてきたのだと五十鈴は思った。
「名前、なんだよ。言わなきゃ、一生死神って呼ぶぜえ」
残り短い一生が何をほざくかと言っても良かったが、この男はもう生き残る気満々なのだろう。
「……、五十鈴だ」
名前を知られても別に困ることはないと五十鈴は言った。
「五十鈴、五十の鈴ねぇ。名前からして綺麗じゃん。さぞやあんたの鳴き音はよく響くんだろうよぅ。ヒーヒー言わせてぇ。ああ、俺は藤馬(とうま)な。親しみ込めて、トーマでいいぜぇ」
「藤馬」
「ぐっ、早速Sっ気出すのかよ。はいはい、五十鈴ちゃんは俺と親しくなりたくねえってか。大人の付き合いが希望なのねん」