死神の邂逅
断ち切られた魂の行く末を五十鈴は知らないが、“悪い方にはいかない”とは理解している。
肉体に留まる魂は現世に残り、延々として“死んだまま”、どこにも行けず、動けず、ずっと眠っている状態となる。
肉体というしがらみからの“解放”が五十鈴の仕事であり、義務であった。
なぜ自分がそんな職についているのかなど考える暇がないほど、猶予なく続けてきたことだ。今更ながらにこの義務の意味を問う気にもなれないし、五十鈴としては、誰かのためになっていると分かるだけでも十分にやる意味はあった。
そんなことでいい。
――私には、生きている人を救えないのだから。
ならば、死んだ人を救おうと此度も五十鈴は、自身の管轄内で死のうとする者を遠目から見ていた。