死神の邂逅
「ムカつく野郎がいたんだ」
「……、は?」
「見るだけで男の敵と言えるような奴がいてよぅ。なに、俺、見ての通りイケメンじゃん?そんな俺が迂闊にも『イケテる』と思ったそんな、ムカつく野郎だった」
「……」
包帯で顔半分隠した奴がイケメンかどうかはともかく、藤馬はそのムカつく野郎に楯突いたらしい。
「ムカつく、憎たらしい、俺以上の奴なんか認めたくねえんだわ、俺。ルックスも力だって、俺一番なプライド持ってんのによ、こともあろうか、あのクソ野郎は俺に『イケテる』と思わせた。
あり得ねえ、あり得ねえからついついその顔面をボコボコにしたくなるわけよ」
理不尽で横暴だった。
藤馬に目をつけられた『クソ野郎』とやらに同情さえしてしまう。