死神の邂逅


「次に無駄口を叩けば私は帰る。言え、私は何をしてやればいい」


「せっかちだねぇ。でも甘ちゃんだから、性根はさぞや真っ直ぐで柔らかいんだろうなぁ。

おっと、無駄口は禁止だっけか。とりあえず、五十鈴ちゃんに頼みてえのは、ある奴に連絡つけてほしいんだよ」


「ある奴……?そいつがお前を治すのか」


「まあ、そんなもん。俺の知る限りじゃ、あいつしか俺を治せねえだろうよ。呪いが確定しちまった以上は、“一度死んでやるが、また生き返ってやる”。その準備に必要なんだよ、あの変人が」


「一度死んで生き返るだと、馬鹿な」


「できんだよ、死んだ瞬間ならな。仮死状態みてえなもん?死んだけどまだどこか生きているみてえな。信号で言ったら、黄色状態ん時から赤になるその“僅かな間”に、俺は生き返る」


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