死神の邂逅


いくらフィルムに入っていたとは言え、死に損ないの懐にあったものだ。血が染み渡る。それでも藤馬の言う通りに、真ん中あたりの折り紙はあまり血を含んでいなかった。


白い大振りの花が、藍色の中で花開いているそんな柄の折り紙。


「で、人形ってどう折るんだ」


「ああ、折らなくていいから。あくまでも、作ってくれりゃあいいだけ。人形(ひとがた)っぽくしてくれ。折れるんならそちらが好ましいが、別に破るなりでもいいから、とりあえず、四隅破いて、股ぐら裂いたもんでもいいぜぇ」


「お前の言い方はどうにかならないのか」


下品すぎると五十鈴は四隅を破り始めた。綺麗な切り抜き人形なら鋏が一番であり、奇しくも五十鈴は鋏を持っているわけだが――こんな小さなモノを切るには“適さない”と、使わなかった。


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