死神の邂逅


助けるかどうかはともかくも、男が五十鈴に気付いたことに興味を持った。


人間の目で自身を見つけたのもそうだが、一番に“助けられる手を持つフクロウ”と勘づかれたのが気になったのだ。


灰色の羽がしなり、滑空、下降した五十鈴(フクロウ)。


男から湧き出す血溜まりを踏まない程度の距離で着地した。


ただ平たい地面は着地に向いていないためにバランスを崩す。あわやクチバシを地面に打つ一歩手前で、踏み止まった。


「おうおう、きたか、クソ鳥」


「……」


「ちっ、愛想ねえな。今時の死神ってのは、そんなにも無口なのかよ」


「……」


死神という呼び名はあまり好んでないが、男はそんな存在だと分かりきっているらしい。


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