死神の邂逅
今の五十鈴の見かけは、ちょっと変わったフクロウというところか。
灰色の羽で、図鑑にも載りそうな立派なフクロウ。右目を固く瞑り、左目だけを開けているとなれば、仲間割れで目に傷でも負ったのかと予想しようにも。
「なに、お前。メスなの?まつげながっ」
瞑られた右目からはまつげが伸びていた。そこまでの詳細は今近場で初めて知ったと男は笑う。血を吐きながら、笑った。
「最期に看取られるのが女だなんてなぁ。腹上死だなんて一度はやってみてえと思ったんだけどよぅ。なぁ、死神。見ただけでシコれるような美人になれる?」
「……」
「んなあからさまにどん引くなって、男の夢だぜぇ。死に間際にいっちまえるほどの女に会いてぇってのは。
頼むからさ、我が人生に一点の悔いなしっ。てなことを言わせてくれよぅ。死に損ないに夢見せてくれたっていいじゃねえか」