死神の邂逅


今の五十鈴の見かけは、ちょっと変わったフクロウというところか。


灰色の羽で、図鑑にも載りそうな立派なフクロウ。右目を固く瞑り、左目だけを開けているとなれば、仲間割れで目に傷でも負ったのかと予想しようにも。


「なに、お前。メスなの?まつげながっ」


瞑られた右目からはまつげが伸びていた。そこまでの詳細は今近場で初めて知ったと男は笑う。血を吐きながら、笑った。


「最期に看取られるのが女だなんてなぁ。腹上死だなんて一度はやってみてえと思ったんだけどよぅ。なぁ、死神。見ただけでシコれるような美人になれる?」


「……」


「んなあからさまにどん引くなって、男の夢だぜぇ。死に間際にいっちまえるほどの女に会いてぇってのは。

頼むからさ、我が人生に一点の悔いなしっ。てなことを言わせてくれよぅ。死に損ないに夢見せてくれたっていいじゃねえか」


< 8 / 85 >

この作品をシェア

pagetop