花畑の中で
壊れ物を扱うかのように優しく撫でる。

心地好く目を閉じる。

「昔…会ったんだ。美沙、覚えているか??」

体が強張っていくのを感じた。冷や汗が流れる。

「……私は知らない。貴方に会ったこともない。私は貴方が言っている美沙じゃない。名前、顔は同じでも私は……」

言ってしまえばいい。

これ以上優しくしないで私は貴方を好きになりたくない。

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