りぼん結び。
「っ…!」
い、いつのまに……。
彼はもう女子たちの渦から抜け出していて。
私の目の前に立って。
その冷たい目で――私を見つめていた。
「……俺が、なんなの?」
「な、んでもないよっ」
瞬間的に私は自分の頬が赤くなるのを感じた。
いつもなら絶対、教室で話しかけてくれないのに…!
「そ、…つか、お前その格好…。」
「へ?」
「…なんでもない。」
そう言って、彼は納得のいかないまま男子のむれの中に入っていった。
――こうして、波乱の文化祭は幕を開けた。