りぼん結び。



「・・・・直哉なら、いませんよ。」


私が早口にそう伝えると、彼女はまた微笑んだ。


「今日は、あなたに用事があってきたの。」


彼女は自分の前髪をかき上げた。


「・・・・丁度よかった。私も、話したいことがあったんです。」




―――私はスカートを握り締めながら笑顔をつくった。




彼女には負けられない、本能がそう告げたのだ。




< 169 / 194 >

この作品をシェア

pagetop