りぼん結び。
「・・え。」
みんながわいわい騒ぐ中、私は地獄に落とされた気分だった。
「でもっ、大野は彼女いるじゃん!」
千夏が、止めてくれようとした。
・・なのに。
「別にいいよ。俺は。」
そういって、直哉はちゅっと莉子ちゃんにキスをした。
「・・・っ」
慣れているから、大丈夫。
そう思っていたのに、やっぱり心は正直で・・目には涙がたまった。
「どうしたの?若菜。」
葵がとなりで心配してくれている。
「・・っなんでも、ないよ。ちょっと・・トイレいってくる・・っね!」
そういって、私は急いで部屋から出た。
「・・っ、もう・・やだ。」
ケータイには、千夏からの心配しているメールが何通もきていた。
「・・うっ・・」
私は、またひとりで――ひとりぼっちで泣いた。
声を押し殺して。
これからも、笑えるように。
強く、なれるように。