僕のチョコレート
桜と僕。
春。

芽吹いたばかりの桜が、競うように自らの花びらを散らしている。

その花びらによって、淡いピンク色と化したアスファルトの地面

―を、一人の少女が歩いていた。
黒いセーラー服と、同じく黒く、短い髪を風になびかせながら。
顔は幼めで、目は二重。薄いピンク色の頬は黒い髪と対照的だ。


…これが僕―明野つぐみの外見的な特徴。
それにしても自分の外見を語るというのは、少し恥ずかしいものもあるんだなぁ。
―とか心の中で思いながら、ピンク色に染まった道を進んでいく。
もうすぐで僕がこれから通うことになる私立黒埜学園が見えてくる。
―つまりは、今日は私立黒埜学園の入学式であり、僕ははれてピカピカの高校一年生になる。
自然と足取りがウキウキと軽くなるは避けられないっ…。
しかし顔だけは絶対ににやけるのを阻止だ!(;`皿´)
僕は入学式早々「変人」のレッテルをはられないように、顔に力を込めていたら学園の門にたどり着いた。
私立黒埜学園はまるで明治時代のようなレトロなレンガ造りの、いかにも昔からある歴史ある学園という風貌だが、実際はそうでなく、まだ創立してからおよそ5年超えるか超えないかというまだまだ新しい高校だ。 なので設備も新しく、技術も高い。その証拠か学園内のパソコンのほとんどはiPadであるとかいうウワサが通っていた中学校で流れていた。ほんとかよ。
まぁそれはともかく、僕は他の新入生のように靴を下駄箱に入れ、新しい指定された上履きに履き替える。下駄箱が並んでいる所を出ると、そこは広々としたロビーだ。
床は大理石、壁にはスタンドガラスで、黒埜学園の校章である朱色のバラが彩られている。
「新入生の方は配られたクラス表に従って各自自分のクラスに行って下さーい!」
教師らしい若い男の人がロビーの中央でそう呼びかけている。男の人にしては目が大きく、童顔だけど背は僕よりも数十センチ高そうだ。ちなみに僕は150センチちょうど。…成長期とは短いものだと、次ぐ次ぐ思う。(ノ△T)
プチへこみしながら教室へ行く。僕はE組だ。
教室では僕は廊下側の一番前の席。出席番号順だしね。
机にかばんをおろし、気になるのでちらりと隣の席の男子を窺う。だって隣の男子って何故だか気になっちゃうじゃん! そして見てみると、一番先に目についたのが―髪。
艶やかできれいな、肩に少しかかっている黒髪。
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