その猫、取り扱い注意
「助かりました」
「いいけど。あんたも大変だね」
とぼとぼ教室に向かって歩き出す。特に話すことがないからほぼ無言。でも嫌な空気じゃない。
「着いたんで、じゃあ」
自分のクラスに着いたチアキはにこっと天使に見えなくもない笑顔で手を降った。
手なんか降るキャラじゃないのに自然と手が動いてる。
はっと我に返って手を戻したが、もう遅い。
「今の、可愛い」
そんなこと言われてときめかない人がいたら教えて欲しい。
フラれたばかりなのに心変わりの早い自分もイツキ以上に馬鹿だ。
加速する鼓動
(熱でもあるのかもしれない)