その猫、取り扱い注意
「分かった。またあの子のことか」
「なんでユミちゃんが出てくんの」
「まさかの図星かよ。そういえばあの子さっき保健室に行ってたな」
嘘か本当か分からない彼の言葉に動揺した。がたがたっと椅子が不協和音を奏でる。
バカみたいに従順に立ち上がる僕を見て彼は鼻で笑った。
「へぇ。"ユミちゃん"の為にそんな慌てちゃうんだ」
「うるさい。ハヅキはその性格直したほうがいいよ」
「無駄口叩く暇があるなら早く行かないと彼氏くんに横取りされちゃうんじゃない?」
悔しいけど、次の瞬間、僕はハヅキに操作されるように教室を飛び出した。
ただイツキくんより先に行きたくて。
それだけが僕を動かしていた。