その猫、取り扱い注意




保健室に着くと先生以外は誰もいなくて、まだイツキくんは来てないんだと悟った。


ノックもしないで入ったから怒られると思ったのに、先生はにこにこしながら僕に話しかけた。



「あら。何か用?」


「ユミさんが此処にいるって聞いて」


「バスケでボールぶつけられた子ね。えっと…ベットで寝てるけど」



ぶつけられた?


ユミちゃんは大丈夫なのか?


不安になって先生と話してることを忘れてユミちゃんのいるベットへ近づく。


すやすやと寝息を立てる彼女を見て目立った怪我じゃないと安心した。


ずっと好きだった。


今も好きで。


誰よりも好きで。


ふと目に入った首筋の赤い痕を見て僕の中で何かが切れた。



眠 り 姫 に キ ス を

( 泥棒と言われてもいいよ )




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