その猫、取り扱い注意
上目遣いしながらさりげなく手を握るこいつは元カノのナナ。
今機嫌悪いって分かんないのこいつ。俺が嫌な顔すると、ちょっと嬉しそうな顔した。なんなの。
「イツキ知らないんだ」
「何」
「ユミちゃんの居場所。もしかして今探してるみたいな?」
「……」
「しょうがないなぁ。これ、見れば分かるよ」
やけにテンションが高いこいつが差し出したのは、携帯。画面を開くと信じがたい光景が目に映る。
息を呑む。
携帯を持つ手が震える。
「あたし、ユミちゃんのこと嫌いなんだよね」
制御出来ない感情。
いい加減怒りでどうかなりそうだ。そんな時にナナが嘲笑うような口調で呟く。
ちょんと背伸びして、固まる俺の首に手を回す。
「"これ"、どうして欲しい?」
甘えるような猫撫で声に苛立つことも忘れていた。
画 面 に 映 る あ い つ は
( 泥棒猫にキスされてた )