その猫、取り扱い注意
傘が握られていました
あたしの彼氏は行方不明です。
いつから行方不明かって聞かれたら先日の保健室事件から来てないです。
イツキくんが学校にいないと学校に来てる感じがしない。
一応家に行ったりはしてるけど、出てくれないし、メールも返ってこない。
ちなみにチアキくんとはあれから喋ってない。
お互い保健室での出来事を気にするというか幼馴染みの一線を越えてしまったというか。
分かってしまったんだ。
自意識過剰かもしれない。でもチアキくんの目がそう言ってるようで。
「珍しく一人なんだ?」
「なっちゃん…」
よしよしとお姉さんっぽくあたしの頭を撫でるのは友達のなっちゃん。
なんとあのチアキくんの友達のハヅキくんことはーちゃんと双子。2人共、美男美女で羨ましい姉弟だ。
「ユミが大人しいと天気悪くなるからやめて」
「ええっ。あたしのせいなのー」
「そうなのーユミのせいなのー」
下駄箱で靴を履き変えながらなっちゃんは傘を取り出した。