その猫、取り扱い注意
取り残された傍観者
僕の幼馴染みは泣き虫です。
長年一緒にいる僕だけど、初めてユミちゃんと会った時の彼女の印象は"泣き虫"だった。
人見知りなのか僕を見る目もなんだか怯えていた気がする。
今まで周りの人にちやほやされて生きてきたからこんな反応されたのは初めてでその時から彼女が気になっていたのかもしれない。
「…イツキ、くん」
幼い思い出に浸っていたら一気に現実に戻された。
ふと顔を上げると、私服姿のイツキくんが立っている。
最近学校に来てないな、と思ったら何してるんだろう。
隣にいるユミちゃんは雨が降ってるにも関わらず、傘から飛び出して彼に抱き着いた。