その猫、取り扱い注意
きっと君は気づいてる
あたしの彼氏はずるいです。
今更何もなかったかのように接してもらっても切なくなるだけだ。
苦しい。喉の奥がきゅっとして息がしにくい。泣きすぎて目が痛い。
人間ってこんなに涙が出るんだと感心させられるくらいに流れた。
こんな道路のど真ん中で何やってるんだろう。通り過ぎる人々の視線を浴びながら、声が枯れるまで泣いた。
「ユミちゃん」
「……」
雨に濡れて色っぽいチアキくんが無表情のままあたしを見る。
あたしの知ってるチアキくんじゃない。
彼はいつもにこにこと笑っていて、それを皆が取り囲んでいる。そんな感じ。
今の彼はあたしの思ってる幼馴染みじゃなくて、男の子の顔をしていた。